折口信夫の「若水の話」は、琉球の島々における「若水」の信仰を通して、古代の人々の時間観や霊魂観、そして、現代まで続く日本文化の根源を探る、壮大な思索の物語です。遠い昔、人々は一年を「ことし」と「こそ」の二つに分けて考え、一年が終わると、常世の国から霊が村に戻ってくると信じていました。その霊を迎える祭りが、のちに春の「御霊祭」と秋の「御霊迎」へと変化していく中で、若水は、その霊力を宿すものとして、人々の信仰の対象となっていきました。物語は、若水信仰がどのように生まれ、変化し、そして現代にまで受け継がれてきたのか、その謎を解き明かしていく、知的な旅へと誘います。