源泉小学校は、大伝馬町《おおでんまちょう》の裏手にあり、普通の家造りで、二階建ての座敷と台所を備えていました。そこに教場が建て増しされ、生徒たちは八畳間の畳の上に座って授業を受けていました。お嬢様たちは友禅《ゆうぜん》の座布団を抱え、お手習いや読書、お針仕事に励んでいました。校長である秋山先生は、教場とは別に、屏風《びょうぶ》を立て、机を置き、孔雀《くじゃく》の羽根を飾り、その部屋で生徒たちに教鞭を振るっていました。一方、教場では、生徒たちは各自《めいめい》寺小屋式の机を持ち、硯箱《すずりばこ》や水入器《みずいれ》をおもちゃ箱に変え、遊びに興じていました。