二十五年間の劇文学を振り返り、岸田国士は、日本の劇作家が雑誌ジャーナリズムから抜け出し、本格的な創作活動に専念していないことを嘆きます。世界では、劇作家は劇場と密接に関わり、上演の可能性が創作を促し、作品は舞台を通じて価値判断されるのが一般的です。しかし日本では、そのような仕組みが確立されておらず、劇作家は生活のために、他の文芸活動に頼らざるを得ない状況にあります。一方で、戦後、劇文学は徐々に確立され、新劇運動や文壇ジャーナリズムの寛容な姿勢、そして外国演劇の影響を受けながら、新しい芽が育ちつつあります。今後は、観客の求める新しい演劇を生み出し、観客の心を捉える「演劇的要素」を盛り込んだ作品が求められるでしょう。