十一月二十七日、佐藤垢石は先輩の生駒君と共に有楽座で開催される「美音会」へと向かいます。会場は熱気に満ち溢れ、華やかな貴婦人たちの姿が目立ちます。開演を待ち焦がれる中、いよいよ吉備舞が始まり、透き通った歌声に聴衆は酔いしれます。その後、長唄、一中節と続き、それぞれの芸の深みに引き込まれていきます。休憩時間には、歌沢の評判や、芝土志と芝鈴の歌い方の違いについて議論が交わされます。そして、いよいよ歌沢の出演。様々な歌沢の芸を楽しんだ後、会場には呂昇の姿も。芸妓たちとのやり取りや、柳沢伯の姿も見られます。いよいよ大隅の娘景清が始まり、聴衆は息をのんで聞き入ります。しかし、佐藤垢石は、以前聞いた時よりも何か物足りなさを感じてしまうのでした。