津田左右吉は、従来の日本史観、特に建国神話や万世一系の思想に疑問を呈し、歴史的事実と史料の区別を明確にすることを試みています。彼は、日本民族が長い歴史的過程を経て、次第に統一されていったことを明らかにし、神武天皇の東征や記紀の記述は歴史的事実ではなく、皇室の権威を強化するための物語であると主張します。皇室の永続性は、政治的力ではなく、宗教的権威や文化的な指導的地位といった様々な要素によって築き上げられ、さらに国民の皇室に対する敬愛の情によって支えられてきたと分析しています。そして、明治維新以降の天皇制についても、国民との関係や近代化の過程における変化を丁寧に考察し、現代における天皇制のあり方について鋭い視点を提示しています。