明治の秋、東北の聯隊に所属していた若き軍曹は、秋季機動演習で会津から米沢へと旅次行軍を行いました。旅の道中、軍曹は各地に残る怪談話に耳を傾け、磐梯山の噴火の爪跡や雪女郎の伝説に胸を高鳴らせました。そして、米沢の宿営地にたどり着いた軍曹は、偶然にも母方の大伯父にあたる老僧がいることを知り、その寺を訪れます。老僧は、軍曹に不思議な体験を語って聞かせました。それは、老僧が住職になって間もない冬の夜、新仏の娘の霊が現れ、婚礼の装束のまま、生前の執着を断ち切るために老僧に助けを求めたという話です。老僧は、その娘の霊の切ない願いに応え、その黒髪を剃刀で切り落とし、娘は安堵してあの世に旅立ったそうです。軍曹は、老僧の不思議な体験に驚き、そして、その娘の霊が残した古鏡と黒髪を見せてもらいました。