飛鳥彫刻の代表作として有名な「百済観音」「夢殿観音」「中宮寺弥勒」は、実は白鳳時代の彫刻であると著者は主張します。それぞれの像は、飛鳥時代の彫刻に見られる安定感や均衡性を超えた、新しい造型美と抒情性を備えています。特に「百済観音」は、異様な長身と線条の美しさで、白鳳時代の新しい感覚の先駆を担っていると言えます。さらに「夢殿観音」は、その繊細な造形や微妙な官能美で、白鳳時代の抒情性をさらに発展させた姿を見せています。そして「中宮寺弥勒」は、白鳳時代の感覚が成熟し、写実的な表現へと近づいていることを示す、白鳳彫刻の末期的性格を備えています。