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ランダムピックアップ ― 旧聞日本橋(長谷川時雨)
鼠小僧《ねずみこぞう》の住んでいた三光新道には、不思議な稲荷神社がありました。そこには、猫の絵馬がたくさん奉納され、霊験あらたかな場所として知られていました。その稲荷神社の近くには、鼠小僧の隠れ家があったのです。物語は、語り手の「アンポンタン」が、幼い頃に見た、奇妙な老爺さんの姿から始まります。その老爺さんは、湯川氏と名乗り、石炭酸の匂いを漂わせながら、独特の言葉で語り、周囲を不思議な雰囲気に包みます。
老爺さんの人生は、波乱万丈でした。仙台藩士から御直参旗本へ転身し、幕府崩壊と共に没落していく姿は、時代の激動を反映しています。
老爺さんは、硫黄に執着し、晩年には長谷川家の援助を受けながら、硫黄の採掘に情熱を燃やします。しかし、彼の情熱は、時代に取り残された哀愁を漂わせるものでもありました。
「アンポンタン」の視点を通して描かれる老爺さんの生き様は、滑稽でありながらも、どこか哀しい、人生の機微を映し出す、印象的な物語です。