ある晩、沢村宗十郎氏の門弟である男は、他所からの帰りが遅くなり、聖天下の今戸橋までやって来ます。しかし、辺りは一面の出水で、橋の上も水没していました。男は、衣服をまくり上げ、犬の様に四つん這いになり、折詰を口に銜えながら、必死に橋を渡ろうとします。何とか橋の反対側までたどり着くと、そこには白い着物姿の男が一人立っていて、男を笑っていました。男は、その男が巡査だと気づき、出水の話をしますが、振り返ってみると、出水は跡形もなく消えており、道も橋も乾いていました。男は、折詰を見てみると、底が抜けており、中が空っぽになっていることに気づき、大笑いしてしまいます。その後、師匠の家へ帰っても、男は盛んに笑われたそうです。