長く生きてきた著者は、経験を重ねても心の根底は変わらないと感じています。知識や経験は皮相なものに過ぎず、人は結局、生まれた時から変わらない宿命を背負っているのではないか、と。様々な思想や宗教、世の中の出来事を通して、この宿命を打ち破ろうと努力してきたものの、それは人間の力ではどうにもならないことに気づかされます。現代社会で目にする様々な論争も、根底ではこの宿命から逃れられないもがきに過ぎないのかもしれません。著者は、過去を振り返り、自分自身だけでなく、周囲の人々の生き様も宿命の犠牲であったように感じます。私たちは常に新しさを求めていますが、本当の意味で新しいものは存在しないのかもしれない。新しい年を迎えても、心は変わらない。著者は、そんな思いを抱えながら、新年への期待と同時に、虚しさを感じているのです。