昭和12年8月、宮本百合子は「文芸時評」と題し、当時の文壇を鋭く批評した。北支事変を背景に、作家が時局に対してどのような態度をとるべきか、作家としての生き方とは何かを問う。さらに、国際作家会議を取り上げ、世界の文化状況と日本の作家の置かれている状況について考察する。また、中本たか子、池田小菊、尾崎一雄、佐藤俊子といった女性作家の作品を分析し、それぞれの思想性と特徴を浮き彫りにする。そして、石川達三の「日蔭の村」や舟橋聖一の「新胎」といった作品を取り上げ、社会と個人の関係、ヒューマニズムのあり方について深い考察を展開する。当時の作家たちの作品を通して、社会、文学、そして人間の生き方を深く見つめる、鮮烈な批評文です。