歴史的探偵小説の魅力は、現代ではあり得ない状況下での知略と冒険にある。科学技術が未発達な時代、探偵は限られた知識と常識、そして機知を駆使して事件の謎を解き明かす。その困難さを克服する過程、そして時代背景が織りなす独特の雰囲気こそが、歴史的探偵小説の醍醐味と言えるだろう。著者は、フランス革命を舞台にしたオルチー夫人の作品を例に挙げ、現代とは異なる時代背景が、事件の解決方法にどのような制限と面白さを与えるか、詳細に考察している。また、日本の歴史的探偵小説についても触れ、江戸時代の雰囲気を描いた岡本綺堂の「半七捕物帳」を称賛し、現代の作家にも歴史を舞台にした作品に挑戦してほしいと期待を表明している。