戯曲界の不振が叫ばれる中、岸田國士は、実は新しい気運が生まれつつあると主張します。外国劇に頼っていた新劇団も、創作戯曲を求めるようになり、作家たちもそれに応えようとしているのです。戦後、フランスではサルトルやカミュのように、小説家でありながら戯曲家でもある作家が活躍し、戯曲は文学運動の中心となっています。日本では、小説家の行き詰まりや、戯曲というジャンルの可能性への期待から、演劇に対する関心が再び高まりつつあります。岸田國士は、この新しい潮流に乗じて、演劇の未来を切り開くため「雲の会」というグループを結成し、精力的に活動しています。