佐藤春夫は、坂口安吾の文学を、太宰治の文学とは対照的に、高邁な精神と深い人間理解に基づいた、真に「文学の本筋」を行くものと評しています。世俗的な先入観念にとらわれず、人間を見つめる坂口安吾の鋭い視点は、創作だけでなく随筆にも表れ、彼の作品の魅力となっています。太宰治の文学が現代青年の苦悩を反映しているのに対し、坂口安吾の文学は、将来の大人へと続く道筋を示しているとも捉えられます。佐藤春夫は、坂口安吾の文学が、太宰治の作品に魅了された読者が、さらに深い理解と味わいを求める段階に到達した時に、真価を認められると信じています。