日本の芝居を良くしたいと願いながらも、自分が本当に何をしているのか、目的を見失いがちな「私」は、新劇協会の初日を観劇し、金子洋文の『牝鶏』や伊沢、花柳両君の演技に感銘を受けます。また、伊志井君の「創造」を感じ、日本の新劇に光明を見出します。しかし、一方で、マアテルリンクの『めくら』に失望し、ポルト・リシュの『過去』の面白さに改めて気づかされます。マアテルリンクの名声とポルト・リシュの影の薄さ、ブリュウの成功とポルト・リシュの不遇さを嘆きつつ、「私」は、鬱陶しい梅雨の空模様の中、東京を離れ、沓掛の高原で「自分の仕事」をしようと決意します。