戦後、軽井沢の別荘で久しぶりに再会した旧友たち。その中のひとり、Gは、かつて山岳部に所属し、寡黙ながらも自然と深く向き合う詩歌を紡ぐ青年だった。しかし、彼はその後、建築の道へ進み、大陸へ渡り、消息を絶ってしまう。二十年ぶりに再会したGは、朝鮮や満洲で数々の病院を建ててきたことを語るが、彼の過去は謎に包まれている。再会をきっかけに、Gは、旅順での奇妙な体験を語り始める。そこは、かつてロシア軍の要塞があった場所で、荒廃した官舎や博物館、そして謎めいた女性との出会い……。夜の鳥の鳴き声は、彼の過去と現在、そして忘れられた記憶を呼び覚ます。