冬の街は活気に満ち溢れ、人々の表情は忙しそうです。しかし、彼はその中に溶け込むことができず、いつもどこか落ち着きません。古ぼけたトンビとすり減った下駄を履き、街をぶらぶらと歩く彼は、三十歳の閑人です。かつては友達と無邪気に過ごした日々もありましたが、今は皆それぞれに仕事を持ち、家庭を築いています。彼自身も病気から回復したものの、自信がなく、青春時代を虚無感の中で過ごしてしまいました。そんな日々を振り返る中で、彼は焦燥感に駆られます。人生を賭けてでも何かを始めようかと考えますが、叔父からの返事もなく、家族に心配をかける自分が情けなく、死んでしまいたいとも思います。それでも彼は、鳥屋の前で九官鳥のさえずりを聞き、街の賑わいを眺め、いつもの喫茶店に入ります。そこには新聞を読んでいる屈木がいました。屈木は昔、彼以上に病に苦しんでいたにも関わらず、今では新聞記者として活躍しています。屈木の姿を見て、彼は奮い立ち、何かを始めようとする力を得ます。コーヒーを飲み終えた彼は、小学校の運動場で子供たちのダンスを眺めます。子供の頃の思い出が蘇り、彼は複雑な気持ちになります。そして、彼は父の墓参へ向かうのでした。