日蔭の街に暮らす、無職の「私」は、親の遺産を使い果たし破産寸前の友人の柏に、金策に困っていることを打ち明けられます。柏は、その夜、華やかなサボイ旅館で豪勢に晩餐をしようと誘い、二人は共に旅館へと向かいます。旅館の食堂には美しく華やかな人々で溢れ、その中に柏は「愛の杯」から抜け出してきたような美しい女性を見付けます。食事を終えた後、柏は急いでその女性の印象が薄れないうちに仕事に戻ると言い残し、一人で帰ってしまう「私」。「私」は、食堂を出た後、サボイ劇場へと足を運びますが、そこで奇妙な出会いを経験します。それは、殺人事件の始まりを予感させる、不穏な出来事でした。