寺田寅彦は、科学者でありながら文学にも造詣が深く、その二つの世界を対比させながら独自の視点で考察しています。科学も文学も言葉によって表現された「記録」であり「予言」であると捉え、科学における論文が、実験や分析を通して得られた真実を客観的に提示するように、文学もまた、人間の心の複雑な様相を表現し、新たな発見や洞察を提供するものだと論じています。そして、科学者である自分が文学に貢献するためには、自身の経験に基づいた随筆が最適であると結論付けています。科学と文学は異なる分野でありながらも、どちらも人間の本質や世界への理解を深める上で不可欠な存在であると、寺田寅彦は力強く訴えています。