映画と季感の関係について、中井正一は独自の視点で考察しています。映画は芸術として独立した段階にあり、季節の移り変わりを忠実に映し出すことが求められます。しかし、日本の映画では、季感を意識したシナリオはほとんど書かれていないのが現状です。作者は、俳句に「季」が不可欠であるように、映画にも「季感」が重要であると主張します。それは単に季節を表すだけでなく、人間の存在そのものを深く感じさせるための要素なのです。芸術は、人間の目を曇らせる「魚の網膜」や「歴史の濁った角膜」を切り取り、宇宙や人生への根源的な問いを投げかけるものだと、力強く訴えかけています。