南部修太郎は、自身の変態的な心理体験について、数々の不思議な経験を語り、読者を奇妙な世界へと誘います。高熱にうなされる中で目撃した亡くなった作家の幻影、病室に現れた無数の黒子、そして自分の体が無限に伸び縮みするような恐怖体験。どれも、日常ではあり得ない、しかしどこかで聞いたことのあるような、人間の心の奥底に潜む不可思議な感情を呼び覚ます出来事ばかりです。晩年の南部修太郎は、これらの体験が単なる幻覚や錯覚ではなく、人間の精神の奥深くに潜む闇を映し出す鏡のようなものだと気づき始めます。しかし、その闇の正体は、いまだに謎に包まれているのです。