明治四十四年十一月十九日、東京府下羽根田の運動場にて、国際予選の運動競技大会が開催されました。この日は、寒気|凛烈《りんれつ》な天候の中、多くの観客が詰めかけ、熱気に満ち溢れていました。午前九時から競技が始まり、百|米突《めいとる》、二百米突、八百|米突《めいとる》と、様々な種目で選手たちは健脚を競い合いました。午後には、マラソン廿五哩の大競走が行われ、選手たちは東海道筋を驀地《まつしぐら》に走り抜けました。沿道では、各学校の応援の声が轟き、選手たちは互いに抜きつ抜かれつの熱戦を繰り広げます。そして、ついに迎えた決勝。金栗は、並み居る強豪選手たちを相手に、見事世界記録を破る快挙を成し遂げました。