フランスの詩人、レエモン・ラジィゲは、わずか20歳で夭折した天才です。彼は短い生涯の間に、詩集「火のやうな頬」と二つの小説を遺しました。彼の作品は、同時代の作家たちから「二十世紀のロンサアル」や「日附のない本の年齡のない著者」と称賛され、神童として扱われました。しかし、ラジィゲは「神童」のレッテルを嫌悪し、彼の作品は「神童」特有の早熟さや異常さを全く持ち合わせていません。むしろ、彼の作品には、年齢を重ねた者が持つ「羞恥」や「隠したて」が感じられます。彼の作品は、正確な心理解剖と、ごく普通な感情の特異な表現によって、読者に深い感動を与えます。ラジィゲは、「平凡であるやうに努力せよ」という言葉を体現した、稀有な作家です。