あらすじ
「ふしあわせ」という普遍的なテーマを、深い洞察と共感に満ちた言葉で歌い上げた作品です。作者は、肉体的、精神的な「かたわ者」と呼ばれる人々の心の奥底に寄り添い、彼らの抱える特殊な「ふしあわせ」を、愛と涙をもって歌い上げます。彼らのビッコの心を、まるで仲間のように理解し、共感できる言葉で表現することで、読者に深い感動と共感を呼び起こすでしょう。それは何処からきているか
みなもと深く学者はしらべた
人々は自分に照りあわせ
実際的に納得した
けれども
目ざす彼岸は高く
あまりに遠い
ふしあわせは
片時もはなれずつきまとう
人という人はことごとく
本能 感情 意志を持つ
不幸は四六時中五感をつっさす
みんなは生きる
ふしあわせとの組み打ち
ふしあわせは一様でない
その千差万別をうたいたい
ことに 普遍的なものよりも
特殊なふしあわせをうたいたい
たとえば肉体的なかたわ者
人は彼を見ることさえうとんじ
愛の花もしぼませる
それにもまして心のかたわもの
愛も怒りも消え失せ
人は彼をさけ 自分は我が身を投げ深ばまりしてゆく
わたしは彼らのビッコの心の中をうたいたい
仲間の心をもって、愛と泪をもって
了
底本:「中野鈴子全詩集」フェニックス出版
1980(昭和55)年4月30日初版発行
底本の親本:「中野鈴子全著作集 第一巻」ゆきのした文学会
1964(昭和39)年7月10日発行
初出:「第三次早稲田大学新聞 第三十九号」早稲田大学新聞社
1936(昭和11)年5月27日発行
入力:津村田悟
校正:夏生ぐみ
2019年12月27日作成
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