あらすじ
美しくも力強い歌声、濤音の「うし」は、遠い異国の地からの使者、按司を迎える喜びと高揚感に満ち溢れた作品です。歌い手は、按司の到着を心待ちにしながら、鮮やかな情景を目に浮かべ、その姿を想像しています。待ち焦がれる気持ち、華やかな祝祭の雰囲気、そして美しくも力強い言葉の数々が、読者の心を惹きつけます。はやお主加那志前 お迎へか。
あれ楽の音がかすかに微かに浮んでくる
どれ黒髪□□梳さなをさう。
黄金三つ星てり渡る北京の都。
そこからおす唐 按司すゐ、
まばゆいばかりの尊いみ姿を
今日こそは妾もをがみにいきます。
島には雲わき燕がすぢかひに飛ぶ。
鴛鴦のやうなお冠船はふわふわと
湾内にねむつて濃い夢をむさぼる。
森には福木 黄いなる花さく。
お冠船をどりの日はいつごろか。
うしイは夜もすがら胸にゑがいた。
あてやかな若按司が紅ゝゆる振袖を、
または女躍 役者かこまやかな足どりを
了
底本:「沖縄文学全集 第1巻 詩」国書刊行会
1991(平成3)年6月6日第1刷
底本の親本:「沖縄毎日新聞」
1912(明治45)年1月22日
初出:「沖縄毎日新聞」
1912(明治45)年1月22日
※初出時の署名は「濤韻生」です。
※「沖縄近代詩集成()沖縄毎日新聞(明治四十二年〜大正三年)篇」法政大学沖縄文化研究所、1988(昭和63)年9月20日発行では判読不可の文字を「楽(がく)□音」「黒髪□□」「唐□按司」「福木□貴い」と□で表示していますが、底本ではそれぞれ「楽(がく)の音」「黒髪□□((不明))」「唐 按司」「福木 黄い」となっています。
入力:坂本真一
校正:きゅうり
2019年10月28日作成
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