あらすじ
横光利一は川端康成が神戸に滞在していることを知り、手紙を書きます。神戸には寄れなかったものの、十月中頃に上京する予定であることを伝えています。また、川端康成が頻繁に住所を変えることに触れ、自身の変わった名前も気に入っているのではないかと茶化しています。最後は、川端康成の健康を気遣う言葉で締めくくられています。
43 九月二十日 兵庫縣神戸市外西灘村鍛冶屋七番中村嘉市方より東京市本郷駒込千駄木町三八槇瀬方の川端康成宛

いつかは來て下さつたさうですね。失敬しました。歸省してゐらつしやつたのですか、私は八月の終りに朝鮮の方へ行つてつい三四日前に表記の所へ腰をすゑてをります。加古川のあなたの番地が分つてゐましたら寄らして貰はうと思つてゐたのですが、もうそちらにゐられると見えますね。十月の中頃には上京しようと思つてゐます。あなたはよく宿をお變りになりますね。然も變つた住所の宅が皆變つた名の所を見ますと、僕のやうな變つた名もお好きですか。お身體を大切に。早々

底本:「定本 横光利一全集 第十六卷」河出書房新社
   1987(昭和62)年12月20日初版発行
底本の親本:「横光利一全集 第十二卷」河出書房
   1956(昭和31)年6月30日
入力:橘美花
校正:きりんの手紙
2020年3月28日作成
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