束を加へなかつたことが其大なる原因であるらしい。狸汁又は狸皮の首卷の如きは我々が是非とも彼等から要求せねばならぬ必需品ではない。毛筆の材料の如きは恐くは有害なる野鼠の髭を以て之に代へて一擧兩得し得るであらう。文明の國民はあまりトラジションに拘へられてはならぬ。願はくは現在の愉快なるアンタントコルジアルを一段と有效に擴張し、少々は養狸業の牧場でも各地に見るやうになつたならば農作の害敵どもは次第に退縮し、其結果として腹鼓は彼等のみの民族的遊戲では無くなるであらうと思ふ。あらすじ
狸は長年、人々から誤解され、恐れられてきました。しかし近年、狸に対する認識は変わりつつあり、人々と狸の関係は改善されようとしています。特に、史蹟天然記念物保存會の戸川殘花翁は、狸の素晴らしさを世に広める活動を行っています。翁は狸が人々にとって有害ではなく、むしろ愛すべき存在であることを説き、人々との友好関係を築くために尽力しています。かつては敵対していた人々と狸の関係が、今後どのように発展していくのか、注目されます。
束を加へなかつたことが其大なる原因であるらしい。狸汁又は狸皮の首卷の如きは我々が是非とも彼等から要求せねばならぬ必需品ではない。毛筆の材料の如きは恐くは有害なる野鼠の髭を以て之に代へて一擧兩得し得るであらう。文明の國民はあまりトラジションに拘へられてはならぬ。願はくは現在の愉快なるアンタントコルジアルを一段と有效に擴張し、少々は養狸業の牧場でも各地に見るやうになつたならば農作の害敵どもは次第に退縮し、其結果として腹鼓は彼等のみの民族的遊戲では無くなるであらうと思ふ。了
底本:「定本柳田國男集 第二十九巻」筑摩書房
1964(昭和39)年5月25日発行
初出:「郷土研究一卷八號」郷土研究社
1913(大正2)年10月10日
入力:フクポー
校正:津村田悟
2019年6月28日作成
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