あらすじ
親から引き離され、長い年月を生きてきた男が、ある日、自身の生みの母との再会を果たします。喜びと同時に、複雑な思いが胸をよぎる男。母との再会を機に、男は過去を振り返り、自分自身の生い立ちと向き合っていくのです。長い年月を経て、ようやく巡り合った母との関係は、男の人生にどのような影響を与えるのでしょうか。 『畸人伝』にもあるが清元の『保名』にもその名が残っている小西来山に、だれでも知っているだろう句がある。
けふの月ただくらがりが見られけり
句をただ句だけとしてみることがつまらないという考え方は、前の茨木理兵衛の「身の上や」でもそうだが、「けふの月」にいたっては殊にそうである。『今宮草』についてその前書きを見ると、この句は佳き戯曲小説と同じように打ってくるものを持っていることが感じられる。
母に別れてのち大酔に及ばぬときは一日も夢にみぬことなし、機嫌よきときはその朝こころよし、さもなき時はその朝こころよからずして、せめて今宵の夢はと待ちかぬるぞかし。
けふの月ただくらがりが見られけり
了
底本:「日本の名随筆 別巻25 俳句」作品社
1993(平成5)年3月25日第1刷発行
1999(平成11)年11月20日第6刷発行
底本の親本:「長谷川伸全集 第一一巻」朝日新聞社
1972(昭和47)年1月
入力:門田裕志
校正:雪森
2014年1月1日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。