あらすじ
詩人である「俺」は、言葉の扱い方について独自の考えを持っています。ロジックに囚われず、象徴を用いて、自分の感情や思想を表現しようとします。詩は、宣言であり作品であり、物質名詞と印象が結びついた有機的な存在であると主張し、ダダイズム的な手法を用いて、歴史や過去の作品を独自の視点で解釈します。ダダイストは、時代を超えて普遍的な「棺」のような言葉を用いることで、永遠性を求めるのではなく、その時代ならではの表現を生み出しているのです。
名詞の扱ひに
ロヂックを忘れた象徴さ
俺の詩は

宣言と作品との関係は
有機的抽象と無機的具象との関係だ
物質名詞と印象との関係だ。

ダダ、つてんだよ
木馬、つてんだ
原始人のドモリ、でも好い

歴史は材料にはなるさ
だが問題にはならぬさ
此のダダイストには

古い作品の紹介者は
古代の棺はかういふ風だつた、なんて断り書きをする
棺の形が如何に変らうと
ダダイストが「棺」といへば
何時の時代でも「棺」として通る所に
ダダの永遠性がある
だがダダイストは、永遠性を望むが故にダダ詩を書きはせぬ

底本:「新編中原中也全集 第二巻 詩」角川書店
   2001(平成13)年4月30日初版発行
※底本のテキストは、著者自筆稿によります。
※()付きの表題は、作品の冒頭をとって、底本編集時に与えられたものです。
※()内の編者によるルビは省略しました。
入力:村松洋一
校正:hitsuji
2019年12月27日作成
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