あらすじ
深い悲しみと、それに抗う強い意志が、鮮烈な言葉で描き出されます。雨上がりの風景を背景に、自棄と孤独が渦巻く中で、それでも懸命に生きる「僕」の姿が浮かび上がります。詩は、読者の心の奥底に響く、静かで鋭い問いかけを投げかけます。
古る摺れた
外国の絵端書――
唾液が余りに中性だ

雨あがりの街道を
歩いたが歩いたが
飴屋がめつからない

唯のセンチメントと思ひますか?
――額をみ給へ――
一度は神も客観してやりました
――不合理にも存在価値はありませうよ
だが不合理は僕につらい――
こんなに先端に速度のある
自棄 々々 々々
下駄の歯は
僕の重力を何といつて土に訴へます
「空は興味だが役に立たないことが淋しい
――精神の除外例にも物理現象に変化ない」
ガラスを舐めて
蠅を気にかけぬ

底本:「新編中原中也全集 第二巻 詩」角川書店
   2001(平成13)年4月30日初版発行
※底本のテキストは、著者自筆稿によります。
※()付きの表題は、作品の冒頭をとって、底本編集時に与えられたものです。
※()内の編者によるルビは省略しました。
入力:村松洋一
校正:hitsuji
2020年5月27日作成
青空文庫作成ファイル:
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