あらすじ
才能に恵まれながらも、世間の評価に苦しむ詩人の心情が、切々と歌われています。詩人は、才能を無駄にしたくないと願いつつも、現実の厳しさと向き合わざるを得ません。やがて、詩人は自身の置かれている状況を、白と黒だけの空と海、そして空虚な中間という風景に重ね合わせ、複雑な思いを表現します。此の夜の海は
――天才の眉毛――
いくら原稿が売れなくとも
燈台番にはなり給ふな
あの白ッ、黒い空の空――
卓の上がせめてもです
読書くらゐ障げられても好いが
書くだけは許して下さい
実質ばかりの世の中は淋しからうが
あまりにプロパガンダプロパガンダ……
だから御覧なさい
あんなに空は白黒くとも
あんなに海は黒くとも
そして――岩、岩、岩
だが中間が空虚です
了
底本:「新編中原中也全集 第二巻 詩」角川書店
2001(平成13)年4月30日初版発行
※底本のテキストは、著者自筆稿によります。
※()付きの表題は、作品の冒頭をとって、底本編集時に与えられたものです。
※()内の編者によるルビは省略しました。
入力:村松洋一
校正:hitsuji
2020年6月27日作成
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