あらすじ
恋を知らない老人は、若い者たちの恋話を聞き、そんなものはあり得ないと一笑に付します。しかし、その老人が麦藁帽子をかぶって街を歩いていると、夕風が蝶々が地面に落ちる様を見つめていました。老人は、自分の想像を超えた現実、特に恋という感情の深さに気付き始めるのです。
恋を知らない
街上の
笑ひ者なる爺やんは
赤ちやけた
麦藁帽をアミダにかぶり
ハツハツハツ
「夢魔」てえことがあるものか

その日蝶々の落ちるのを
夕の風がみてゐました

思ひのほかでありました
恋だけは――恋だけは

底本:「新編中原中也全集 第二巻 詩」角川書店
   2001(平成13)年4月30日初版発行
※底本のテキストは、著者自筆稿によります。
入力:村松洋一
校正:きゅうり
2019年9月27日作成
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