あらすじ
都会の雑踏の中、灰色のセメント菓子を噛みながら、男はさまよい歩く。彼の心は倦怠感に包まれ、足取りは重く、現実から逃れたいという気持ちが募っている。彼は、自分自身を土と見なし、周囲の景色にすら無関心である。やがて、男は行く先で出会う人々や物事を通して、自身の存在意義を見つめ直していくことになる。
俺は、俺の脚だけはなして
脚だけ歩くのをみてゐよう――
灰色の、セメント菓子を噛みながら
風呂屋の多いみちをさまよへ――
流しの上で、茶碗と皿は喜ぶに
俺はかうまで三和土タタキの土だ――

底本:「新編中原中也全集 第二巻 詩」角川書店
   2001(平成13)年4月30日初版発行
※底本のテキストは、著者自筆稿によります。
入力:村松洋一
校正:きゅうり
2019年7月30日作成
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