あらすじ
中原中也は、萩原朔太郎の誠実さや若々しさを称賛し、その作品が売れることを喜びます。一見、頑固そうに見える萩原氏ですが、実際は気が弱く、博識な一面も持ち合わせていると中也は分析します。萩原氏のエッセイが時に突飛に感じるのは、酒のせいもあるでしょう。そして、その酒は、詩人としての孤独から生まれたものだと中也は推測します。中也は萩原氏について考えるたびに、エドガー・アラン・ポーの言葉を思い出すのです。氏は実に誠実な人で、いつ迄経つても若々しい。一見突慳貪にも見えるけれど、実は寧ろ気が弱い迄に見解の博い人である。然るに氏のエッセイはとみると、時にダダツ子みたいに感じられる時がある。蓋し淫酒のせゐである。而してその淫酒は、氏の詩人としての孤独のせゐである。
私は何故だか萩原氏を思ふたびに、次のポオロの言葉をくちずさみたくなる。
「我は強き時弱く、弱きとき強し。」
了
底本:「新編中原中也全集 第四巻 評論・小説」角川書店
2003(平成15)年11月25日初版発行
底本の親本:「ふらんす」
1937(昭和12)年10月号
初出:「ふらんす」
1937(昭和12)年10月号
※()内の編者によるルビは省略しました。
※底本巻末の編者による語注は省略しました。
入力:村松洋一
校正:noriko saito
2015年2月20日作成
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