あらすじ
詩人・中原中也は、友人である依田氏の作品「春愁」と槙氏の作品「道」について、率直な感想を述べています。中也は「春愁」を傑作と認めながらも、どこか物足りなさを感じているようです。その物足りなさの原因は、詩格の欠如にあるのでしょうか、それとも余剰価値の不足にあるのでしょうか。中也は、自身の鋭い観察眼と独自の審美眼で、二人の詩作品を深く考察していきます。
 依田氏の「春愁」は好きです。槙氏の「道」は関西に住む人の幸福がよく感じられます。「春愁」は傑作でさへあります。しかし「偶然うまく行つた」といふ感じがするのです。謂はば詩格がないとでもいふのでせうか。余剰価値に乏しいとでもいふのでせうか。
(新生三月号をよみて)
了

底本:「新編中原中也全集 第四巻 評論・小説」角川書店
   2003(平成15)年11月25日初版発行
初出:「新生」
   1937(昭和12)年4月号
※底本のテキストは、筆写稿によります。
入力:村松洋一
校正:noriko saito
2015年2月20日作成
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