あらすじ
中原中也は、宮沢賢治の詩集「春と修羅」を長年愛読していました。しかし、自分の無名さから、その素晴らしい詩集を世に広めることができずにいました。賢治の死を悼む中也は、全集刊行の知らせに喜びながらも、複雑な思いを抱きます。彼の詩が、殉情的な日本において、これまで読まれなかったことに驚き、全集が広く読まれることを切に願っています。此の我々の感性に近いもの、寧ろ民謡でさへある殉情詩が、此の殉情的な国で、今迄読まれなかつたなぞといふことは不思議だと、今度此の全集の第一巻が出た後では、諸君も必ずやさうお思ひになることと思ひます。
今は多くを申しません。何れ「明治・大正詩人論」といふ書が近々出るわけですから、その中で宮沢賢治のことは、詳しく論じたいと思つてゐます。
全集が弘く読まれる事を希望しつつ、広告の一助にもと一寸一言申述べます。
了
底本:「新編中原中也全集 第四巻 評論・小説」角川書店
2003(平成15)年11月25日初版発行
底本の親本:「作品」
1935(昭和10)年新年号
初出:「作品」
1935(昭和10)年新年号
入力:村松洋一
校正:noriko saito
2014年9月11日作成
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