あらすじ
深い青の空には、朝日を浴びて一羽の鳥が飛び立ちます。冷たい水で身を清め、鋭い視線を持つ蟷螂が草むらから現れます。そして、緑色の玉のような何かの上に、作者の手が置かれているのです。詩は、自然の風景の中に、謎めいた存在感を放つ作者の手と、その手を包む何かの存在へと、読者を誘い込みます。
琺瑯の野外の空に 明けの鳥一つ
阿爾加里性水溶液にて この身を洗へ
蟷螂はまなこ光らせ 露しげき叢を出づ
わが手は 緑玉製 Isisイジス膝の上に

底本:「富永太郎詩集」現代詩文庫、思潮社
   1975(昭和50)年7月10日初版第1刷
   1984(昭和59)年10月1日第6刷
底本の親本:「定本富永太郎詩集」中央公論社
   1971(昭和46)年1月
初出:「山繭 第四号」
   1925(大正14)年3月
入力:村松洋一
校正:川山隆
2014年3月7日作成
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