あらすじ
「手」は、失われた「おま」への切ない想いを、静かに、そして力強く歌った詩です。テーブルの上に置かれた「おま」の手は、もはや温かさを失いながらも、そこに存在し、語りかけているかのようです。詩人は、その手から「おま」の息吹を感じ、静かに、しかし深く傷ついています。詩全体から漂うのは、失われた愛と、それを受け止めようとする詩人の孤独な姿です。
おまへの手はもの悲しい
酒びたしのテーブルの上に。
おまへの手は息づいてゐる、
たつた一つ、私の前に。
おまへの手を風がわたる、
枝の青蟲を吹くやうに。

私は疲れた、靴は破れた。

底本:「富永太郎詩集」現代詩文庫、思潮社
   1975(昭和50)年7月10日初版第1刷
   1984(昭和59)年10月1日第6刷
底本の親本:「定本富永太郎詩集」中央公論社
   1971(昭和46)年1月
入力:村松洋一
校正:川山隆
2014年3月7日作成
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