あらすじ
風船売りの老人が、赤や青、黄色や紫など色とりどりの風船を売っています。その風船に毎日やってきて遊ぶ、一羽の白い蝶々。蝶々は、たくさんの風船の中でも特に小さな赤い風船と仲良しでした。ある日、赤ちゃんの背負った子守りが、その小さな赤い風船を買ってしまいます。赤い風船は蝶々に別れを告げますが、蝶々は「ついて行きます」と答えます。そして、蝶々は赤い風船の後をついて、子守りと共に旅に出ます。イツピキノ シロイ テフテフガ フウセンダマノ トコロヘ マイニチ トンデ キテ、イチンチヂユウ アソンデ イクノデシタ。
テフテフハ タクサンノ フウセンノ ウチ、イチバン チヒサイ アカイ フウセンダマト、タイヘン ナカヨシデシタ。
アル ヒ、アカンボヲ セヲツタ コモリガ ヤツテ キテ、イツセンデ ソノ チヒサイ アカイ フウセンダマヲ カヒマシタ。
カハレテ イク トキ アカイ フウセンダマハ イヒマシタ。
「テフテフサン、サヨナラ」
ケレド シロイ テフテフハ イヒマシタ。
「イイエ、ワタシハ ツイテ イキマス」
ソシテ、テフテフハ ヒラヒラト アカイ フウセンダマニ ツイテ イキマシタ。
コモリハ ナミキミチヲ トホツテ、コウエンノ ハウヘ イキマシタ。イトデ ツナガレタ フウセンダマハ コモリノ アトカラ ツイテ イキマシタ。ソシテ ソノ アトカラ シロイ テフテフハ ツイテ イキマシタ。
コモリハ コウエンヘ クルト、ベンチニ コシカケテ コモリウタヲ ウタヒマシタ。
「ネンネン ヨヲヲヲ
ネンネン ヨウ」
シカシ、アカンボウヨリ サキニ、コモリノ ハウガ ウツラ ウツラ ネムリハジメマシタ。
シロイ テフテフハ シンパイサウニ、
「コレカラ ドコヘ イクノ」
ト フウセンニ キキマシタ。
フウセンハ、
「ボク シラナイ」
ト イヒマシタ。
ソノ トキ、コモリハ フウセンノ イトヲ ハナシテ シマヒマシタ。アカイ フウセンダマハ ソラノ ハウヘ ノボリハジメマシタ。
シロイ テフテフモ ソノ アトニ ツイテ ノボツテ イキマシタ。
「ボク ドコヘ イクンダカ ワカラナイカラ、テフテフサン モウ オカヘリヨ」
ト フウセンダマハ イヒマシタ。
「イイエ ワタシ ツイテ イキマス」
ト シロイ テフテフハ イヒマシタ。
フウセンダマト テフテフハ タカイ タカイ トコロマデ キマシタノデ、マチガ ツミキザイクノヤウニ チヒサク ミエマシタ。
「ツイテ キチヤ ダメダ。ボクハ ドコヘ イクノカ ワカンナイヨ」
ト フウセンダマハ イヒマシタ。
ケレド、シロイ テフテフハ ツイテ イキマシタ。
マモナク、アカイ フウセンダマト シロイ テフテフハ ミエナク ナツテ シマヒマシタ。
了
底本:「校定 新美南吉全集第四巻」大日本図書
1980(昭和55)年9月30日初版第1刷発行
初出:「ひろった らっぱ」羽田書店
1950(昭和25)年5月1日
※底本はテキストを、1935(昭和10)年5月頃に書かれたと推定される、自筆原稿によっています。
入力:愛知大学文学部図書館情報学 時実ゼミ 青空文庫班
校正:富田倫生
2012年11月4日作成
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