あらすじ
那覇港の海民たちは、かつての剽悍さを失ってしまったようです。しかし、美しい贈り物が与えられれば、再び活気を取り戻すでしょう。紅い毒を文身した尾類、人魚の肌、そして海の族たちが、泡盛の匂いを撒きながら誘いに来るのです。沈め、沈め、海の底へ。石垣は魚城の砦となり、午睡に役立つ日が来るでしょう。百年を一度咲く龍舌蘭が花開くその日、海の中で黄いろや赤いろが輝き、掌には尾類の髪、腰には椰子の壺を忘れずに。
ああ美しい贈りものを!
尾類が紅いどくを文身こむだらうよ
人魚の肌へ
鮫を、比目魚を、いらぶう、海豚を
市をめぐつて海の族が酔うて痴れて酔ひ痴れて
おまへを誘ひにくるだらう
泡盛の匂ひを古酒を撒いて!
沈め沈め沈め海へ底へ
おまへの市の石垣が魚城の砦に役立つ日が来た
そこで午睡をするがよい!
おまへの午睡に役立つ日が来た
海の中で黄いろ? 赤いろ?
百年を一ど咲く龍舌蘭が花開くだらうよ
沈め 用意はよいか!
おまへはその掌に尾類の髪を握るだらう
おまへの腰に椰子の壺を忘れぬだらう了
底本:「沖縄文学全集 第1巻 詩」国書刊行会
1991(平成3)年6月6日第1刷
入力:坂本真一
校正:良本典代
2017年11月24日作成
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