あらすじ
「あなたの顔」は、墓の中に蓮の花を植えるという奇妙な行為から始まる詩です。作者は、自身の内側に、燐色の顔という、どこか異質なものを植えようとしています。そこには、生と死、現実と幻想が複雑に絡み合い、読者に深遠な問いを投げかける、独特の世界観が展開されます。
――琉球の墓を見たことがあるか。むしろ蟇の如き石室なり。また、一小孤城の如きも見るべし。高き丈余にあまり、みな蒼苔をおび、海に向ひて寂然たり。むかし、さる物持ちの翁ありて、己が墓に池を穿ち、蓮の花を植えたりと。――

墓のなかに蓮の花をうえる
僕は一輪の薔薇を植ゑる
黒奴のやうにまつくらい体のなかに
ああ 燐色の顔をうゑる。

底本:「沖縄文学全集 第1巻 詩」国書刊行会
   1991(平成3)年6月6日第1刷
入力:坂本真一
校正:良本典代
2016年9月9日作成
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