あらすじ
丘のすそに池があり、丘の上にはつくりもののトオチカがあります。丘の薄は銀のヴェールのように美しく、兵隊が二人かけのぼって行くシルエットが浮かびます。語り手はトオチカの銃眼に照準を合わせ、タバコをくゆらせながら、薄の毛布に包まれ眠ろうとしています。戦場の緊張感と静寂が、独特の詩的な言葉で表現された作品です。丘の薄は銀のヴェールである
丘の上につくりもののトオチカがある
照準の中へトオチカの銃眼をおさめておいて
おれは一服やらかした
丘のうしろに雲がある
丘を兵隊が二人かけのぼって行った
丘も兵隊もシルエットである
このタバコのもえつきるまで
おれは薄の毛布にねむっていよう
了
底本:「竹内浩三全作品集 日本が見えない 全1巻」藤原書店
2001(平成13)年11月30日初版第1刷発行
2002(平成14)年8月30日初版第5刷発行
入力:坂本真一
校正:雪森
2014年11月14日作成
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