あらすじ
荒れ狂う北海の厳しい自然の中で、一人の男が生き延びようとします。星も灯りもなく、吹雪が容赦なく降り注ぐ中、男は希望を失いかけても、雪をかみ、風を聞きながら懸命に生きようとしています。彼の運命はいかに? 過酷な自然と対峙する男の姿を描いた、壮絶で切ない物語です。
夜の大海原に
星もなく
さぶい風が波とたたかい
吹雪だ
 灯もない
吹雪だ
 あれくるう

北海 あれる
ただ一つの生き物
ウキをたよりに
生きのび生きのびる人間
助かるすべも絶えた
それでも
雪をかみ
風をきき
生きていた 生きていた

やがて つかれはてて 死んだ

底本:「竹内浩三全作品集 日本が見えない 全1巻」藤原書店
   2001(平成13)年11月30日初版第1刷発行
   2002(平成14)年8月30日初版第5刷発行
入力:坂本真一
校正:雪森
2014年10月13日作成
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