あらすじ
「かの女」への想いは深く、周囲からは諦めろと告げられます。しかし、主人公は「かの女」の歌声や溜息を、遠くの田螺の鳴き声や汽笛にまで感じてしまうのです。それでも、周りの声は「かの女」を諦めるよう促します。主人公は一体、どんな思いを抱えているのでしょうか。切ない想いが胸を締め付ける、力強い言葉の数々で紡がれた一編です。
かの女を 人は あきらめろと云うが
おんなを 人は かの女だけでないと云うが
おれには 遠くの田螺たにしの鳴声まで かの女の歌声にきこえ
遠くの汽車の汽笛まで かの女の溜息にきこえる
それでも
かの女を 人は あきらめろと云う

底本:「竹内浩三全作品集 日本が見えない 全1巻」藤原書店
   2001(平成13)年11月30日初版第1刷発行
   2002(平成14)年8月30日初版第5刷発行
入力:坂本真一
校正:雪森
2014年10月13日作成
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