あらすじ
紅潮の浜で、喜びに満ちた宴が繰り広げられています。若者たちは、玉盃に注がれた甘酒を酌み交わし、恋心を語り合います。美しく澄み切った酒は、彼らの心を解き放ち、忘れかけていた記憶や、未来への希望を呼び覚まします。盃を交わすたびに、彼らの表情は輝きを増し、新たな生命の花が咲き乱れるように、宴は熱気を帯びていきます。紅潮の浜にさすごと
華やかの笑みひろごりて
まなざしの光すゞしく
わが胸の奥には深く
よろこびの影こそ跳れ
わが耳に絃づる歌は
鶯の啼く音をこめね
あたたかき玉の腕に
瑠璃色の酒瓶たたけば
白百合の花よりすべる
露のごと湧くや甘酒
玉盃の縁にあふれて
白銀や黄金の花の
そこゐには咲きそむものと
口ごもる若き恋人
手をのべて盃をうくれば
わが心天の永久春
美しき追憶ばかり
絃かけぬ心をゆする
新たなる生命の花の
色馨る唇よせて
玉盃の縁にあつれば
われならぬ影こそ映れ
なめらかなうまらの酒を
喉笛にそとすべらせば
血の浪の生々ゆらぎ
天地に吾が脈かよふ
了
底本:「沖縄文学全集 第1巻 詩」国書刊行会
1991(平成3)年6月6日第1刷
初出:「芸苑 第二巻第二号」
1907(明治40)年2月
※初出時の表題は「玉盃曲」の一篇です。
入力:坂本真一
校正:良本典代
2016年6月10日作成
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