あらすじ
夕暮れの薄暗がりの中で、遠くの山のシルエットが霞んで見える風景。牛たちは、まるで刑場に連れて行かれるように、静かに歩を進めます。行く手には、枯れ野が広がり、沼尻には荻が折れ伏している様子が目に浮かびます。冬の寒さが身に沁み渡る中、作者は自分自身の行く末を考え、人生の終わりを感じ取ります。下り坂を進むにつれて、視界は霞んでいき、行く手を阻むかのように、煙が立ち込めています。
神無月かみなづき、日は淡々あは/\
夕ぐれの雲ににほへば、
眼路めぢひくき彼方かなたうす
あはれなる遠樹えんじゆぞ見ゆる。
あぜをゆくまだらの牛と
黄牛あめうしは声もものうく、
今は皆しおきには
がれ紅く伏しなむ、
かく思ひ定めし如く
とぼとぼと霧にまぎれぬ。
素枯野すがれののあなた、沼尻ぬじりの、
をぎすすき折れ伏す所、
ああ如何に髑髏どくろを洗ふ
冬の水音して落ちむ。
ひえひえと身に泌む寒さ、
われは今いづこ歩むや、
ふと思ふ、ああ人の世も
ここにして終極はてにかあらむ。
下り坂をぐらくなりて
見るかぎり煙うづまく。

底本:「沖縄文学全集 第1巻 詩」国書刊行会
   1991(平成3)年6月6日第1刷
入力:坂本真一
校正:フクポー
2018年5月27日作成
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