遠く異朝をとぶらへば、秦の趙高、漢の王莽、梁の朱
、唐の禄山、これらはみな旧主先皇の政にもしたがはず、楽しみを極め諫めをも思ひ入れず、天下の乱れん事をさとらずして、民間のうれふる所を知らざりしかば、久しからずして亡じにし者共なり。近く本朝をうかゞふに、承平の将門、天慶の純友、康和の義親、平治の信頼、此等は猛き心も奢れることも、皆とりどりにこそありしかども、まぢかくは六波羅の入道、前太政大臣平朝臣清盛公と申しし人の有様、伝へ承るこそ心も言葉も及ばれね。
〈平家物語 序文・抄〉
、唐の禄山、これらはみな旧主先皇の政にもしたがはず、楽しみを極め諫めをも思ひ入れず、天下の乱れん事をさとらずして、民間のうれふる所を知らざりしかば、久しからずして亡じにし者共なり。
底本:「吉川英治全集・33 新・平家物語(一)」講談社
1967(昭和42)年8月20日第1刷
1971(昭和46)年11月30日第14刷
初出:「週刊朝日」
1950(昭和25)年4月号
入力:川山隆
校正:トレンドイースト
2023年7月17日作成
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