あらすじ
小出新道には、かつて兵士たちが歩いた痕跡が残っています。彼らの忘れ物である軍靴は、道端に捨てられ、陽光にさらされています。靴は過去を嘲笑し、歴史を捨て去ろうとするかのように、口を開けています。その姿は、まるで、かつての栄光を忘れ去り、新しい道を歩もうとしている人間のようにも見えます。
兵士の行軍の後に捨てられ
破れたる軍靴ぐんくわのごとくに
汝は路傍に渇けるかな。
天日てんじつの下に口をあけ
汝の過去を哄笑せよ。
汝の歴史を捨て去れかし。

底本:「萩原朔太郎全集 第三卷」筑摩書房
   1977(昭和52)年5月30日初版第1刷発行
   1986(昭和62)年12月10日補訂版第1刷発行
入力:kompass
校正:小林繁雄
2011年6月25日作成
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