あらすじ
月草のように情熱的な君と、瀬川の蛍のように憂愁に満ちた私は、共に舟べりの光を眺めています。夕暮れの瞳に映る、誰かの面影。さざ波の音、そして遠くを見つめる唇。静かで切ない、二つの心のつぶやきが、夜空に響き渡ります。
ああきみは情慾のにほふ月ぐさ、
われははた憂愁の瀬川の螢、
いきづかふ舟ばたの光をみれば、
ゆふぐれのおめがにて、
たれかまたあるはをしらむ、
さざなみさやぎ、
くちびるはそらをながるる。

底本:「萩原朔太郎全集 第三卷」筑摩書房
   1977(昭和52)年5月30日初版第1刷発行
   1986(昭和62)年12月10日補訂版第1刷発行
入力:kompass
校正:小林繁雄
2011年6月25日作成
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