あらすじ
深い悲しみに暮れる「私」は、光り輝く魚介のような存在である「女」に執着し、その姿を目の当たりにするため、日々都に巡礼しています。女は「私」の願いに応えることなく、深くひっそりと聖像のように佇んでいます。それでも「私」は女にむかって礼拝し、息絶えるまで手を合わせます。「私」は女への想いのあまり、食べ物も喉を通らなくなり、日に日に衰弱していくのです。
女は光る魚介のたぐひ
みなそこ深くひそめる聖像
われ手を伸ぶれど浮ばせ給はず
しきりにみどりの血を流し
われはおんまへに禮拜す
遠くよりしも歩ませ給へば
たちまち路上に震動し
息絶ゆるまでも合掌す
にちにち都に巡禮し
ものまざればみじめに青ざめ
おん前にかたくをとづる。

底本:「萩原朔太郎全集 第三卷」筑摩書房
   1977(昭和52)年5月30日初版第1刷発行
   1986(昭和62)年12月10日補訂版第1刷発行
入力:kompass
校正:小林繁雄
2011年6月25日作成
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