あらすじ
都会で暮らすことになった「私」は、かつて経験したことのない疎外感にさいなまれます。人々の冷たい視線、嘲笑、そして孤独。それは、生まれながらに持ち合わせていた「さびしさ」をより鮮明に際立たせるものでした。ある日、夕暮れの鉄橋の下を歩く「私」は、母の怒りのような激しい感情に突き動かされ、深い悲しみを味わいます。
人のにくしといふことば
われの哀しといふことば
きのふ始めておぼえけり
このまちの人なになれば
われを指さしあざけるか
生れしものはてんねんに
そのさびしさを守るのみ
母のいかりの烈しき日
あやしくさけび哀しみて
鐵橋の下を歩むなり
夕日にそむきわれひとり
(滯郷哀語篇より)

底本:「萩原朔太郎全集 第三卷」筑摩書房
   1977(昭和52)年5月30日初版第1刷発行
   1986(昭和62)年12月10日補訂版第1刷発行
入力:kompass
校正:小林繁雄
2011年6月25日作成
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