あらすじ
西郷隆盛と大久保利通の戦の様子を心配し、戦死した場合でも彼らの手によって供養してもらいたいと切々と訴える手紙です。戦況は緊迫しており、龍馬の心情は焦燥感に満ち溢れています。西郷と大久保への強い信頼と友情が、読み手の心を強く揺さぶる、力強い一通の手紙です。 先、西郷、大久保越中の事、戦争中にもかたほにかゝり一向忘れ不レ申、若しや戦死をとげ候とも、上許両人の自手にて唯一度の香花をたむけくれ候得ば、必ず成仏致し候こと既に決論の処なり。然るに唯今にも引取り可レ申とて糞をくらへと鎮台に攻かけ居り候。何とぞ今少し/\と待つてたべと申来り候間、例の座敷をことはり候て、皆はねかえり足を空にして昼寝をし居申候。何は兎もあれ他人は他人にして置き、西郷、越中守殿の方へは、必ずや御使者御頼み申上候。是が来らぬと聞けば、小弟に限りなげき死に可レ申候。其心中返す/″\も深く御察し可レ被レ遣候。かしこ。
龍
佐々木将軍 陣下
了
底本:「龍馬の手紙」宮地佐一郎、講談社学術文庫、講談社
2003(平成15)年12月10日第1刷発行
2008(平成20)年9月19日第7刷発行
※底本本文の末尾に、(野島寅猪文書)とあります。
※丸括弧付きの語句は、底本編集時に付け加えられたものです。
入力:Yanajin33
校正:Hanren
2010年7月28日作成
2011年6月17日修正
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