あらすじ
元気そうに語り合う人々も、実は心の奥底では元気ではないのです。現代社会では、表面的には明るく振る舞っていても、心の内側に深い悲しみを抱えている人が少なくありません。作者は、そんな現代人の心の内側を、率直で痛烈な言葉で表現しています。一見、暗い詩のように思えるかもしれませんが、そこに込められた強い意志と希望に、きっと心を揺さぶられるでしょう。 今晩あゝして元気に語り合つてゐる人々も、
実は、元気ではないのです。
近代といふ今は尠くも、
あんな具合な元気さで
ゐられる時代ではないのです。
諸君は僕を、「ほがらか」でないといふ。
しかし、そんな定規みたいな「ほがらか」なんぞはおやめなさい。
ほがらかとは、恐らくは、
悲しい時には悲しいだけ
悲しんでられることでせう?
されば今晩かなしげに、かうして沈んでゐる僕が、
輝き出でる時もある。
さて、輝き出でるや、諸君は云ひます、
「あれでああなのかねえ、
不思議みたいなもんだねえ」。
が、冗談ぢやない、
僕は僕が輝けるやうに生きてゐた。
(一九三六・一〇・一)
了
底本:「新編中原中也全集 第二巻 詩」角川書店
2001(平成13)年4月30日初版発行
※底本のテキストは、著者自筆稿によります。
※()内の編者によるルビは省略しました。
入力:きりんの手紙
校正:hitsuji
2021年3月27日作成
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