あらすじ
言葉遊びに明け暮れる人々の中で、中也は自身の存在が「伝説」として語り継がれることを嘆きます。彼らの心は空っぽで、野心という名の造花に寄りかかり、本物の花を忘れてしまったのです。造花は本物の花のように言葉を話せませんが、中也は嘘をつかない花のように、自分の声を力強く響かせます。
辛いこつた辛いこつた!
なまなか伝説的存在にされて
あゝ、この言語玩弄者達の世に、
なまなか伝説的存在にされて、
(パンを奪はれ花は与へられ)
あゝ、小児病者の横行の世に!

奴等の頭は言葉でガラガラになり、
奴等の心は根も葉もないのだ。
野望の上に造花は咲いて
迷つた人心は造花にすがる。
造花作りは花屋を恨む、
さて、花は造花程口がきけない。

造花造りの羽振のよさは、
あゝ、滑稽こつけいなこつた滑稽なこつた。
それが滑稽だとみえないばかりに、
花の言葉はみなしやらくさい。
舌もつれようともつれまいと
花に嘘などつけはしないんだ。

底本:「中原中也詩集」角川文庫、角川書店
   1968(昭和43)年12月10日改版初版発行
   1973(昭和48)年8月30日改版13版発行
※題名を一行目の文言から取った扱いは、底本が採用しているスタイルにならいました。
入力:ゆうき
校正:木浦
2013年1月23日作成
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