あらすじ
砂漠を旅する「私」は、土人に言葉を投げかけます。その言葉は、時の流れを超え、遠い過去へと届くような、不思議な力を持っています。土人は何も答えず、ただ静かに「私」を見つめます。その視線は、何を見ているのでしょうか。そして、その言葉は、どんな答えを生み出すのでしょうか。沙漠のたゞ中で
私は土人に訊ねました
「クリストの降誕した前日までに
カラカネの
歌を歌つて旅人が
何人こゝを通りましたか」
土人は何にも答へないで
遠い沙丘の上の
足跡をみてゐました
泣くも笑ふも此の時ぞ
此の時ぞ
泣くも笑ふも
了
底本:「中原中也詩集」角川文庫、角川書店
1968(昭和43)年12月10日改版初版発行
1973(昭和48)年8月30日改版13版発行
入力:ゆうき
校正:きりんの手紙
2020年2月21日作成
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