あらすじ
孔子が超常現象や不思議な出来事について語らなかったとされる一方で、歴史書には数々の怪異が記されています。世の中には不思議なことが多く、仏教の教えでは神通力などを用いて人々を救うための手段として、奇異な出来事を例に挙げることも珍しくありません。この物語も、人々の迷いを示し、正しい道へと導くための教えとして、不思議な出来事を語っています。事の真偽はさておき、作者の深い意図を感じ取ることが重要です。
孔子は恠力乱神(かいりょくらんしん)を語らずといい給えども左伝(さでん)には多く怪異の事を載(の)せたり又中庸(ちゅうよう)に国家将(まさ)に興(おこ)らんとすれば禎祥(ていしょう)有り国家将(まさ)に亡(ほろ)びんとすれば妖※(「薛/子」、第3水準1-47-55)(ようげつ)ありと云うを見れば世の中には不可思議無量の事なしと言い難(がた)し殊(こと)に仏家(ぶっか)の書には奇異の事を出(いだ)し之(これ)を方便(ほうべん)となし神通(じんつう)となして衆生(しゅじょう)を済度(さいど)の法(のり)とせり是(こ)の篇に説く所の怪事も亦(また)凡夫(ぼんぷ)の迷いを示して凡夫の迷いを去り正しき道に入らしむるの栞(しおり)とする為(た)めなれば事の虚実は兎(と)まれ角(かく)まれ作者の心を用うる所の深きを知るべし

古道人
了

底本:「圓朝全集 巻の二」近代文芸資料複刻叢書、世界文庫
   1963(昭和38)年7月10日発行
底本の親本:「圓朝全集 巻の二」春陽堂
   1927(昭和2)年12月25日発行
※「旧字、旧仮名で書かれた作品を、現代表記にあらためる際の作業指針」に基づいて、底本の表記をあらためました。
総ルビの底本から、振り仮名の一部を省きました。
入力:小林繁雄
校正:仙酔ゑびす
2010年2月8日作成
青空文庫作成ファイル:
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