あらすじ
海岸へ向かう道中、子供は海と空を指さし、喜びの声を上げます。海の波は、遠くに見える帆船と、子供、そして母親の姿を、白いものとして対比させます。母親は、子供と波の言葉に静かに耳を傾け、車夫にゆっくりと進んでほしいと頼みます。静かで穏やかな風景の中に、母親と子供、そして波の言葉が、それぞれに響き合う、印象的な作品です。あれあれかもめが飛んでいるよ。
あれあれあんなに遠く帆掛船が
見えるよ。
お母さんお母さん海が見えたよ!」と
子供がいった。
「沖の白帆が白いか、飛んでいるかもめが白いか、わたしの姿が白いか。」と
波がいった。
「さあ、車夫さん、かまわんで引いてください。」と
母がいった。
了
底本:「定本小川未明童話全集 3」講談社
1977(昭和52)年1月10日第1刷
1981(昭和56)年1月6日第7刷
初出:「新小説」
1907(明治40)年1月
※表題は底本では、「お母(かあ)さん」となっています。
入力:ぷろぼの青空工作員チーム入力班
校正:江村秀之
2013年11月5日作成
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