あらすじ
長二《ちょうじ》は、貧しい家に生まれ、おもちゃひとつ持たずに短い生涯を終えました。しかし、美しいガラス張りの店頭に並んだ、西洋のぜいたくな小間物や、色鮮やかなゴムまり、きらびやかな銀笛やラッパを見るたびに、長二は激しい感情に駆られます。店のガラス戸を打ち砕き、おもちゃをめちゃくちゃに壊してやりたいと。それは、隣に住んでいた貧しい哀れな長二を思い出したとき、抑えきれない衝動として湧き上がってくるのです。おもちゃも持たずに
死んでしまった。
美しいガラス張りの店頭に、
西洋のぜいたくな小間物や、
赤、紫に、塗ったゴムまりや
ぴかぴかと顔の映る銀笛や、らっぱや、
なんでも子供の好きそうなものが
並べてあるのを見ると、
店のガラス戸を砕いて
それらのものをめちゃめちゃにたたき壊してやりたくなる。
隣に住んでいた、
あの貧しかった、哀れな長二のことを思い出したときに。
了
底本:「定本小川未明童話全集 3」講談社
1977(昭和52)年1月10日第1刷
1981(昭和56)年1月6日第7刷
初出:「読売新聞」
1907(明治40)年5月12日
※表題は底本では、「おもちゃ店(てん)」となっています。
入力:ぷろぼの青空工作員チーム入力班
校正:江村秀之
2013年11月5日作成
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